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図書落語

『キャリア航路〜クラウゼヴィッツの人生戦略小噺』第1話|キャリアの霧と蔵はん先生

「霧の海を船で進む蔵はん先生と若者たち。未来に向かって航路を定める和風デザインのサムネイル
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キャリアの霧と蔵はん先生

【はじめに】趣旨の説明

「キャリア」とは何か。「戦略」とはどう立てるものか。 この連載では、クラウゼヴィッツの戦争論にヒントを得て、人生の選択や働き方に役立つ視点を、小噺仕立てでお届けします。

第1話のテーマは「戦争の霧=キャリアの不確実性」。 不透明な時代に、私たちはどう進路を見つけるのか。そんな問いを、船場の町人たちとともに辿っていきます。


【序】仕事が見えん

霧の朝。船場の小さな茶屋に、若い町人・喜六がふらりと現れた。 肩を落とし、湯呑みを見つめるその背中には、どこか人生に迷った影がある。

「最近なぁ、わいの仕事、どないもこないも分からへんようになってな…まるで霧の中や」

喜六
喜六

店番の清やんが声をかける。彼はかつての学び仲間で、今は人の進路を助けるNPOに勤めている。

「また浮かん顔して。人生に霧が立つときもあるわな」

清やん
清やん

「霧」。それはクラウゼヴィッツが語る“戦場の霧”に似ている。 視界は狭まり、情報は曖昧になり、進むべき方向が分からなくなる。 キャリアの場面でも、人はこうして“見えぬ霧”に包まれるのだ。


【破】霧を晴らすには?

そこへ現れたのが、蔵はん先生。 海外から戻ったばかりの、博識なキャリア指南役だ。

蔵はん先生

「ほぉ〜キャリアのフォグ。ええテーマやな」

彼は語る。アメリカにはカウンセラーの制度が整っており、修士課程やライセンス制で専門性が担保されていること。 だが、それに負けず劣らず、日本は国家資格として統一した倫理綱領や更新規則があることが強みであること。

蔵はん先生

「せやけど、制度があっても、自分が見えんかったらあかんのや」

先生は三つの道具を示す。

  • 「自分を知る」巻物
  • 「意志」というランタン
  • 「情報」という扇子
蔵はん先生

「この三つがあれば、霧の中でも一歩ずつ進めるんや」

霧は完全には晴れない。 しかし、霧の中で見えるものを増やす工夫こそが、人生戦略の本質なのである。


【急】ラーメン屋、始めます!

話を聞いてすっきりした喜六。 だが、次に出た言葉がまた突拍子もない。

「ラーメンが好きですわ!ラーメン屋、開業しますわ!」

喜六
喜六

清やんがすかさず制止し、蔵はん先生が頭を抱える。

蔵はん先生

「それやったら…霧の中の方がマシやったかもしれまへんな」

笑いとともに、小噺は締めくくられる。

キャリアとは、制度や正解が導いてくれるものではない。 誰かの言葉で気づき、自分の意志で照らし、そして動くこと。 クラウゼヴィッツの「戦争の霧」は、私たちの日常の判断にも、確かに立ち込めているのだ。


【おわりに】教訓と問い

今回の小噺の教訓

“キャリアの霧を晴らす鍵は、自分を知り、情報を集め、意志を持つこと。”

見えないことに不安を覚えるのではなく、 “何があれば、わいは前へ進めるのか?”と考える。

あなた自身のキャリア航路に、いま必要な“灯り”は何でしょうか?


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影褒め亭いっきょう
影褒め亭いっきょう
国家資格キャリアコンサルタント×アマチュア落語家
「国家資格キャリアコンサルタント × アマチュア落語家」 落語の世界観に魅せられたアラフィフ落語家。13年間の落語経験を活かし、「死神」「いきだおれ」など、クセの強いネタを愛する。 国家資格キャリアコンサルタントとして、「人生の転機」を言語化し、落語にするという独自のスタイルを確立。 「影褒め」(※第三者を通じて伝える褒め方) を活用し、あなたの強みや人生のストーリーを落語で表現する活動を展開中。
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