両立支援は制度では動かない|現場はマネジメントの話だった

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ごきげんさまです。いっきょう@影褒め亭です。

「両立支援の研修をやったのに、現場が制度の話で止まってしまう」

人事・管理職の方から、よく聞く悩みです。

育休の取り方、介護休暇の申請、治療と仕事の両立。
正しいことを伝えている。資料もある。なのに、自分ごとにならない。

私自身も、つい最近まで同じ目で見ていました。
両立支援は「制度の話」だ、と。

その名前が、社長の部屋でひっくり返った話です。

興国車輛株式会社禿社長

「これ、マネジメントの話ですよね」

結論:現場を動かしているのは、制度の解説ではなく、局面での「判断」です。支援の話を聴いているつもりが、経営の話だった。

先日、大阪の興國車輛(こうこくしゃりょう)の禿(かむろ)社長のところへ伺いました。

「両立支援」の取り組みを聞かせてもらうつもりでした。

社員さんががんになったとき。
メンタルダウンしたとき。

そのたびに、どんな施策を打ってきたか。どんなやり取りがあったか。エピソードが次々と出てくる。

内容も興味深かった。それ以上に、話の軸が「どう乗り越えたか」「どう判断したか」に寄っていく。

聴いているうちに、口に出していました。

「社長、これ……両立支援の話を聴いているつもりだったんですが、実はマネジメントの話ですよね?」

「その通りです」

支援じゃない。両立マネジメントだ——と、その場で聞こえました。

「両立支援やろ? 制度の話ちゃうんか」

喜六
喜六

「名前からして、他人事やな」

清やん
清やん


支援する目と、回す目は、同じ場面を見ていない

結論:支援者は「寄り添う」に目がいく。現場の管理職には「どう回すか」が、同じか、それ以上に問われています。

支援者と呼ばれる立場にいると、「支援する」に目がいく。

課題に向き合う。寄り添う。伴走する。そのレンズで聴いてしまう。

社長の話は、同じ局面を別の目で見ていました。

  • どうやってこれを回していくのか
  • 経営としてどう対処するのか
  • 誰が、何を、どこまで担うのか

社員の病気やメンタルダウンという大変な局面こそ、マネジメントの本領が問われる場面だったのです。

制度を知っていることと、その場で判断できることは、別物です。

研修で制度を配っても現場が動かないのは、中身が足りないからではありません。名前の置き方が、聴く側の姿勢を「他人事」にしてしまっている。

「支援」と聴くと、誰か専門家や人事がやってくれる話になる。
「マネジメント」と聴くと、自分の判断の話になる。

「ほな、人事に任せたらいいんちゃう?」

喜六
喜六

「お前が回す話や。名前、変えてみぃ」

清やん
清やん

👉 参考:正しいことを言っているのに部下が動かない時の「相手の土俵に乗る」対話の極意はこちら


名前が変わると、研修の順番も変わる

結論:重いテーマを正論のまま渡すと、心のガードが上がります。笑いの入口を置いてから、判断の話を届ける。この順番が、マネジメントの研修になります。

「両立マネジメント」と言い直した瞬間、研修の組み立て方も変わりました。

制度解説を先に置かない。
判断の話を、正論のまま置かない。

先に笑いの入口をつくる。心のガードが下がったところへ、経営者の実話を置く。

聴いた人が「あれ?うちの職場の話やないか」と自分で気づく。

私が企業研修で落語を使うのは、この順番のためです。

ラックミー!文化祭のワークショップでは、古典落語『粗忽長屋』と、実話をもとにした創作落語『看板の掛け替え』のあと、禿社長ご本人に語っていただきます。モデルになった方の口から、判断の話が来る。

落語のあらすじとプログラムの詳細は、開催案内に譲ります。この記事で渡したいのは、名前のほうです。

両立支援、と呼ぶか。
両立マネジメント、と呼ぶか。

その一言で、研修の宛先が変わります。

👉 参考:落語と実話で両立支援が自分ごとになるワークショップの開催情報・レポートはこちら

👉 参考:戦国武将やシェイクスピアも使った「笑わせて気づかせる」落語研修のメカニズム


明日の会議から使える、3つの言い換え

結論:制度を増やす前に、言葉を一つ変えてみてください。聴く側の姿勢が、先に動きます。

  • 1. 「支援」と言いかけたら、「マネジメント」と言い直す
    —— 誰かがやってくれる話から、自分の判断の話に切り替わります
  • 2. 制度の説明の前に、「そのとき、誰が何を判断したか」を一つ聞く
    —— 申請の手順より、局面の判断が現場に残ります
  • 3. 重いテーマほど、正論の前に入口を置く
    —— 笑いでガードを下げてから、実話を渡す。教えるより、気づく順番です

結び:名前を変えたら、宛先が変わる

結論:現場が動かないとき、制度の中身を足す前に、名前を疑ってみてください。支援の話のままでは、届く席が違います。

私は今日から、「両立マネジメント」と言い直しています。

もしかすると、研修が制度で止まってしまうのは、伝え方が弱いからではないかもしれません。聴く人が、自分の判断だと思っていないのかもしれません。

名前が変わると、宛先が変わる。
宛先が変わると、現場が動き出す。

「ワイ、なんて呼んでるか、よう覚えとらんわ」

喜六
喜六

「そら、届く席もわからんがな」

清やん
清やん

あなたの職場では、今、何の名前で話していますか。


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    いっきょう影褒め亭
    いっきょう影褒め亭
    国家資格キャリアコンサルタント×人生小噺家
    「国家資格キャリアコンサルタント×ビジネス小噺家」 落語の世界観に魅せられ、13年のキャリアを持つ。「死神」や「いきだおれ」といった、一癖ある演目を好む。国家資格キャリアコンサルタントとしての知見と落語を融合し、独自のスタイルを確立。人の強みや人生の物語を落語に仕立てることで、第三者視点からその人の魅力を浮き彫りにする活動をしている。 また、13年間継続している合気道の経験から、落語と合気道に共通する「相手を活かす」考え方や、継続のコツについて研究を重ねている。
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