キャリアコンサルタント

【キャリアコンサルタント向け】氷河期世代をDX推進の「ブリッジ人材」にする支援戦略

ikkyo_blog

キャリアコンサルタントの皆様。

あなたのクライアントの中に、いまだ「失われた世代(ロストジェネレーション)」として、その真の価値を見出されずにいる方がいませんか?

私たちが長らくそう呼んできた就職氷河期世代への支援は、今、「我が国の将来に係る重要な課題」として国に再定義されています。

本ブログシリーズの目的は、この世代を「過去の埋没費用」ではなく、「活性化を待つ戦略的資産の宝庫」として捉え直す新たな物語(ナラティブ)を、キャリアコンサルタントの皆様と共に構築することです。

この世代が直面した逆境は、皮肉にも、現代の日本経済が次の進化の段階で決定的に必要とする、レジリエンス(再起力)、適応能力、そしてミックススキル能力という、ユニークかつ価値あるスキルセットを育んできました。

私たちは、この隠されたポテンシャルを、DX時代を牽引する「ブリッジ人材」として捉え直します。


隠されたポテンシャル:DX時代の「ブリッジ人材」

就職氷河期世代は、企業が切望するユニークな強みを身につけてきました。キャリアコンサルタントは、この「隠されたポテンシャル」を言語化し、企業側に提案することをおすすめします。

  1. サバイバーのスキルセット
    独力で課題を発見し、解決策を模索する高い実践的な問題解決能力を養いました。理不尽な出来事に対しても、再起する力や適応能力も身に着けています。
  2. DX推進における「翻訳者」としての役割
    アナログとデジタル両方を経験した稀有な「ミックススキル人材」です。キャリアコンサルタントは、彼らを、年長の上級管理職と若手社員の間に立つ「DX推進における翻訳者」という、氷河期世代ならではのブリッジ人材の役割として企業に提案すべきです。

では、彼らのユニークな強みとレジリエンスは、いかにして形成されたのでしょうか。


就職氷河期世代の『強み』は、いかにして生まれたか?

就職氷河期世代は、概ね1970年から1984年生まれの現在40代前半から50代半ばにあたる、日本の生産年齢人口の中核約1,700万人を占める極めて重要な層です。

しかし、この重要な層が直面したのは、個人の努力ではどうにもならない構造的なショックでした。

この構造的な影響は今なお残り、キャリアの途中で正社員になった者であっても、新卒正社員の同世代に比べ平均年収が男性で約130万円、女性で約180万円も低いという埋めがたい賃金・資産格差を生んでいます。
【出典】労働政策研究・研修機構(JILPT) 「就職氷河期世代のキャリアと意識—困難を抱える20人のインタビュー調査から」より


氷河期世代が直面する「二つの安定」をめぐる課題の深層

皆様の支援対象となる就職氷河期世代は、キャリアパスの違いから、「安定」に対するニーズが大きく二極化しています。

  1. 揺らぎ始めた「安定」にしがみつく正規組
    給与が大幅に減少する役職定年制度が目前に迫り、長年築き上げた地位を失う恐怖から、変化の必要性を感じつつも現状維持に固執しがちです。
  2. 強く「安定」を渇望する不本意非正規組
    経済的基盤が脆弱なため、将来の年金給付水準が低く「老後貧困」に陥るリスクが極めて高いと指摘されています。彼らが抱えるのは、単なる貧困リスクではなく、「このままでは人生が詰んでしまう」「悲惨な未来しか見えない」といった、生きる希望そのものを失いかねないほどの切実な絶望感です。

こうした二極化された深刻な課題こそ、私たちキャリアコンサルタントが果たすべき使命を明確に示しています。

あわせて読みたい
アナログもデジタルも知る氷河期世代のミックススキルが最強の武器になる
アナログもデジタルも知る氷河期世代のミックススキルが最強の武器になる

キャリアコンサルタントが担うべき支援のロードマップ

政府は就職氷河期世代支援を「我が国の将来に係る重要な課題」と位置づけ、集中的な支援を継続しています。

キャリアコンサルタントの皆様の使命は、就職氷河期世代の持つ「埃をかぶったお宝」を磨き上げ、クライアントに「あなたの経験には意味がある。変革を担うキーパーソンだ」という希望を提示することです。そして、クライアントを通して企業、そして社会の変革を導くことなのです。

政府の作った支援をキャリアコンサルタントの実践力に転換する戦略的なロードマップを一緒に考えていきましょう。

【ロードマップ実践への2つのステップ】

このブログシリーズで提示する戦略を、あなたの現場での行動に落とし込むための、具体的なアクションステップです。

クライアントの「安定へのニーズ」を分類する

目の前のクライアントが、「失いたくない安定」にしがみついているのか、「強く渇望する安定」を求めているのか、そのニーズの違いを意識するだけでOKです。

過去の「困難な経験」を「企業価値」に言い換える

クライアントの過去の困難や非正規経験を、「レジリエンス」や「自律性」といった企業が求める「隠れた強み」として捉え直して伝える。

こうした戦略的支援を実践する上で、私はクライアントの経験を「物語」として捉え直すことが極めて重要だと考えています。ここからは、私の個人的な視点をお話しさせてください。


著者コラム:いっきょうの視点

人生経験、キャリアを「落語」として可視化する意味

私、いっきょうは、クライアントの経験談を「落語」という物語の形式で可視化する活動をしています。

個人のこれまでの人生の失敗や挫折、そしてそこからの再起や適応の物語を、客観的な「作品」として捉え直すことで、クライアント自身が自身の人生に「意味」を見出し「価値」として捉えなおすことができるからです。

キャリアコンサルタントの皆様の使命は、まさにこの「価値の再発見」です。氷河期世代のクライアントの「埃をかぶったお宝」を磨き上げ、未来の可能性へと繋げましょう。

【具体的なセッションの実例】

キャリアが落語になると、人生は策士になる。影褒め転機セッション体験記「すすむはん編」


あなたの支援の質を高め、クライアントを「戦略的資産」へ進化させるために

このブログを読んで「ブリッジ人材」をどう見出すかや、戦略的支援に興味があるキャリアコンサルタントの皆様へ。

著者いっきょうのメルマガでは、氷河期世代の経験を『価値』に変える物語化の極意や、氷河期世代が抱える深層心理の「読み解き方」など、現場ですぐに活かせる情報を砕けた内容でお届けしています。あなたの支援のヒントがきっと見つかります!

あなたのコンサルティングを、より深く、より戦略的に進化させ、結果を出せる支援者になりませんか?

➡️ 【無料メルマガ登録はこちら】

ABOUT ME
いっきょう影褒め亭
いっきょう影褒め亭
国家資格キャリアコンサルタント×人生小噺家
「国家資格キャリアコンサルタント×ビジネス小噺家」 落語の世界観に魅せられ、13年のキャリアを持つ。「死神」や「いきだおれ」といった、一癖ある演目を好む。国家資格キャリアコンサルタントとしての知見と落語を融合し、独自のスタイルを確立。人の強みや人生の物語を落語に仕立てることで、第三者視点からその人の魅力を浮き彫りにする活動をしている。 また、13年間継続している合気道の経験から、落語と合気道に共通する「相手を活かす」考え方や、継続のコツについて研究を重ねている。
記事URLをコピーしました