このブログの著者について
キャリアコンサルタント

氷河期世代リスキリングの重要性と支援プログラムからみたキャリア戦略

氷河期世代新キャリア戦略
ikkyo_blog

番頭さんの再手習いから学ぶ人生キャリア戦略

厳しい就職活動を乗り越え、がむしゃらに働き続けてきた。それなのに、給料はなかなか上がらず、会社での立場も安泰とは言えない…。そんな漠然とした不安を抱える「就職氷河期世代」の皆さん、こんにちは。キャリアコンサルタントのいっきょうです。

「このままで、自分の人生キャリアは大丈夫なのだろうか?」

デジタル化の波、新しいスキルの台頭、そして忍び寄る人手不足の時代。社会が大きく変わる中で、私たち氷河期世代が再び輝くための鍵は、「リスキリング(学び直し)」にあります。

しかし、いきなり「学び直し」と言われても、何から始めればいいのか分かりませんよね。

この記事では、そんなあなたのための具体的なキャリア戦略を徹底解説します。ですがその前に、まずは現代の私たちを映したかのような、あるお店の番頭喜六さんの物語に耳を傾けてみてください。彼の嘆きとささやかな希望の物語は、きっとあなたの心に響くはずです。

小噺:給金が上がらぬ番頭。就職氷河期世代の再手習い

音声配信

Q
小噺:給金が上がらぬ番頭。就職氷河期世代の再手習い

本編

店の奥で、番頭の喜六が大きなため息をついておりました。

「近頃の若い衆は、初給金からして高こうて羨ましいこっちゃ。わいら氷河期世代は、働き口を見つけるだけで精一杯やったのに…」

喜六
喜六

番頭さんは遠い目をします。

「おまけに給金は上がらんし、この前なんか家内から『あんたのへそくりより、魚屋の丁稚の小遣いの方が多いんやないの』なんて言われる始末でしてな」

喜六
喜六

話を聞いていた、近所のご隠居のいっきょうさんがにやりと笑います。

「喜六はん、それはお気の毒に。せやけど、嘆いてばかりでは何も始まりまへん。お上は『再手習い』の支援に力を入れとる。新しい学びを始めるには絶好の機会やと思うんじゃがな」

いっきょうさん
いっきょうさん

再手習い!実はわいも、仕事の合間にこっそり筆算の指南書を読み始めましてな。いつか計算の達人になって、どでかい商談をまとめるのが夢なんですわ!」

喜六
喜六

「おぉ、若いもんには負けられまへんな」

いっきょうさん
いっきょうさん

といっきょうさんの言葉に番頭はんは目を輝かせておりました。

いくつになっても、「負けられへん」という悔しさのバネは、持ち続けたいもんですな。

まとめ

人生の道は一本道ではおまへん。遠回りに見えても、新しい学びや挑戦が、やがて大きな実を結ぶこともあるんですなぁ。 さて、あんさんは、これから何を学び直しまっか?

番頭喜六さんの物語、いかがでしたでしょうか。 彼の姿に、ご自身の姿を重ねた方も少なくないかもしれません。
さて、ここからは、「キャリア戦略、つまりリスキリングの重要性と具体的な方法」について、詳しく解説していきます。

【用語解説】リスキリング(Reskilling)とは?

経済産業省では「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されています。技術革新やビジネスモデルの変化に対応し、価値を創出し続けるために、社会人にとって不可欠な学び直しと言えるでしょう。

詳しくはこちら:リスキリングとは?意味やDX時代の定義、事例をわかりやすく解説


第1部:氷河期世代の現状と課題

女性の活躍

1-1. 氷河期世代個人が直面する現状と課題

氷河期世代は、厳しい就職活動を乗り越え、長年働き続けてきたにもかかわらず、給与の伸び悩みや会社での立場の不安定さといった漠然とした不安を抱えています。社会のデジタル化や新しいスキルの台頭、人手不足といった変化の中で、自身のキャリアに対する不安を抱く人も少なくありません。

この世代が直面する現状と課題は多岐にわたります。

  • 市場が求めるスキルの変化への対応不足:社会のデジタル化が進む中で、求められるスキルが変化しているにもかかわらず、対応しきれていない現状があります。
  • 非正規雇用・不安定な雇用形態の継続:「見捨てられた世代」と言われるように、就職氷河期に正規雇用の機会を逃した多くの人が、今も非正規雇用や不安定な雇用形態に悩んでいます。これにより、安定した仕事に就けないことで結婚や出産を控える傾向が強まり、少子化の一因にもなっています。
  • ポータブルスキルの限界と能動的なリスキリングの喫緊性:安定した正規雇用を得られず、様々な職場で臨機応変に対応してきた経験から、柔軟性や問題解決能力、ストレス耐性、粘り強さといったポータブルスキルは持ち合わせています。しかし、これらのスキルだけでは変化の速い現代社会で生き残るには不十分であり、能動的なリスキリングによるスキルのアップデートが喫緊の課題となっています。
【用語解説】ポータブルスキル(Portable Skill)とは?

直訳すると「持ち運び可能なスキル」。業種や職種、時代の変化に左右されにくい、汎用性の高いスキルのことを指します。専門知識や技術(テクニカルスキル)とは異なり、「対人能力」「対課題能力」など、どんな仕事でも土台となる能力のことです。

詳しくはこちら:ポータブルスキルとは?構成要素一覧、具体例、鍛え方を解説

1-2.企業・採用側から見た氷河期世代の現状と課題

人手不足が深刻化する日本社会において、企業は氷河期世代が持つ経験と潜在能力に注目し始めています。

  • 氷河期世代の価値認識の不足:氷河期世代に限定した求人はまだ十分ではなく、多くの企業がこの世代の持つ価値を十分に認識しきれていないという課題があります。
  • 政府支援プログラムの浸透不足と企業側の積極的な活用不足:政府が推進する氷河期世代支援プログラムには、「十分な成果が出ていない」「情報が届いていない」といった批判があるのも事実です。企業側がこれらの支援プログラムを最大限に活用し、氷河期世代の採用と定着を積極的に進める意識が不足している点も課題です。
  • 個人のニーズに合わせたサポート体制の未整備:単に求人を出すだけでなく、個人のニーズに合わせたサポートプログラムの提供や、リスキリングを促すための環境整備がまだ十分に行き届いていない現状があります。
  • 多様な採用機会の限定性:公務員採用枠など、氷河期世代限定の大きなチャンスも存在しますが、企業がより広範な業種・職種でこの世代の採用を増やす努力が、まだ十分ではありません。

第2部:徹底活用!就職氷河期世代向け支援プログラムの実態

支援プログラム

2-1. 就職氷河期世代支援プログラムの詳細

政府は、氷河期世代の正規雇用化を後押しするため、様々な支援プログラムを運営しています。主な支援内容は以下の通りです。

  • キャリアカウンセリング:専門の相談員が、個々の状況に応じたキャリアプランの設計を手伝います。
  • 企業とのマッチングサービス:採用に意欲的な企業を紹介し、面接の機会などを設けます。
  • 職場定着支援:就職後もスムーズに職場に馴染めるよう、継続的なサポートを行います。

2-2. プログラムへの批判と、私たちが取るべき対策

しかし、これらの支援プログラムには「十分な成果が出ていない」「情報が届いていない」といった批判があるのも事実です。見捨てられたかのような状況に置かれていると感じる人も少なくありません。

ただ、嘆く前にできることもあります。

  • 批判される点
    • そもそも仕事探しが難しい環境で、正規雇用の口が限られている。
    • 支援内容が画一的で、個人のニーズに合っていない場合がある。
    • 広報が不十分で、知りたい人に情報が届いていない。
  • 私たちが取るべき対策
    • リスキリングの実践:まずは自ら新しいスキルを学ぶことで、自身の市場価値を高める。
    • 無料・有料プログラムの活用:オンライン学習などを積極的に利用する。
    • 積極的な情報収集:政府や自治体のサイトをこまめにチェックし、受けられる支援は全て受けるという姿勢が大切です。

2-3. 短期資格習得コースの紹介

特に有効な選択肢が「短期資格習得コース」です。短期間で実践的なスキルを学べ、IT分野や介護業界など、人手不足で求人が多い職種に直結するカリキュラムが充実しています。自身のスキルを効率的にアップデートし、正規雇用を目指す上で非常に魅力的です。

2-4. 助成金と給付金の活用法

金銭的な負担を軽減する制度も整っています。ハローワークなどで申請できる「氷河期世代のための資格給付金制度」や、条件を満たせば訓練費用の一部が支給される各種助成金を併用できる場合もあります。まずは最寄りのハローワークに相談してみましょう。


第3部:氷河期世代が未来を切り拓くための具体的なアクション

氷河期世代の価値

それでは、具体的にどのようにリスキリングを進めれば良いのでしょうか。以下のステップを参考に、行動を始めてみましょう。

  1. 自己分析と目標設定:
    • これまでの職務経験で培ったスキル(ポータブルスキル含む)を洗い出す。
    • 今後、どのような分野で活躍したいか、どのようなスキルを身につけたいかを具体的に設定する。
    • 専門のキャリアカウンセラーに相談し、客観的な視点からアドバイスを得る。
  2. 情報収集と学習計画:
    • 目標達成に必要なスキルや資格を特定する。
    • 政府のリスキリング支援プログラム、オンライン学習プラットフォーム(Udemy, Courseraなど)、専門学校、職業訓練校などを調査する。
    • 学習期間、費用、学習方法(オンライン、通学など)を考慮し、現実的な計画を立てる。
  3. 実践とアウトプット:
    • 学んだ知識を実際に使ってみる機会を作る。
    • 簡単なプロジェクトや副業で実践したり、社内で新しいスキルを活かせる業務を探したりする。
    • ポートフォリオを作成し、自分のスキルを可視化する。
    •  訓練費用などの金銭的支援制度について調べ、助成金・給付金の申請手続きを行う。
  4. ネットワーキングと情報交換:
    • 同じ分野を学ぶ仲間や、すでにその分野で活躍している人々と交流する。
    • オンラインコミュニティやセミナーに参加し、最新情報を得る。
  5. 定期的な見直しと継続:
    • 定期的に学習計画を見直し、市場の変化に合わせてスキルをアップデートしていく。
    • これまでの経験で培った「柔軟性」「問題解決能力」「粘り強さ」などのポータブルスキルを明確にし、キャリアチェンジの際にアピールできるように準備する。

私(筆者)の場合は、営業職を30年経験しており、「聴く力」が養われました。キャリアコンサルタントの資格取得し、営業で培った「聴く力」をバージョンアップし、キャリアカウンセリングに活かしています。資格取得においては、養成学校や受検要綱を調べて、試験日から逆算して通学し学習していきました。

参考記事:氷河期世代 公務員 2026年の採用動向と成功するための戦略

国や地方自治体が実施する『氷河期世代限定の公務員採用枠』は大きなチャンスの一つです。2026年に向けた採用動向と具体的な対策については、以下の記事で詳しく解説されています。


結論:「嘆いてばかりでは始まらない」―逆境を乗り越える「学びのマインド」

一歩踏み出す

小噺のなかでは、番頭さんは、ご隠居に諭された後、こう決意を固めます。

「実はわいも、仕事の合間にこっそり筆算の指南書を読み始めましてな。いつか計算の達人になって、どでかい商談をまとめるのが夢なんですわ!」

喜六
喜六

この「どんな状況でも学びを見つけ、自分を向上させようとするマインド」こそ、氷河期世代が持つ最大の武器です。逆境を知っているからこそ、現状を分析し、自ら動いて知識やスキルを身につけようとする「したたかさ」を持っています。

ご隠居の言う通り、「人生の道は一本道ではおまへん」。遠回りに見えたとしても、新しい挑戦こそが未来を切り開きます。

さて、あんさんは、これから何を学び直しまっか?

いっきょうさん
いっきょうさん

もし、その第一歩として、「リスキリングの具体的なヒントや考え方」をプロから体系的に学べる場を覗いてみるのも一つの手かもしれません。

その際は、この物語を導いてくれたご隠居にちなんで、申し込みフォームの紹介者欄に「いっきょう」とご記入ください。

オンラインビジネスブートキャンプ

https://wmbc.info/free/mbc


情報発信はメルマガを中心に届けています

いっきょうの情報発信はメルマガを中心におこなっています。

メルマガを登録の方に就職氷河期世代におけるサバイバルを生き抜く知恵のレポートを無料進呈します。

下記、メルマガ登録をどうぞ。

ABOUT ME
いっきょう影褒め亭
いっきょう影褒め亭
国家資格キャリアコンサルタント×ビジネス小噺家
「国家資格キャリアコンサルタント×ビジネス小噺家」 落語の世界観に魅せられた氷河期世代。13年間の落語経験を活かし、「死神」「いきだおれ」など、クセの強いネタを愛する。 国家資格キャリアコンサルタントとして、「人生の転機」を言語化し、2分の小噺にするという独自のスタイルを確立。 「影褒め」(※第三者を通じて伝える褒め方) を活用し、あなたの強みや人生のストーリーを落語で表現する活動を展開中。
記事URLをコピーしました