キャリコンが抱える「看板と中身のズレ」を解消する方法|落語に学ぶプロの自己研鑽

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ごきげんさんです。いっきょう@影褒め亭です。

先日、全国のキャリアコンサルタントが集うコミュニティ「キャリコンサロン関西支部」様からのご依頼で、会員の皆様に向けた落語ワークショップを開催いたしました。 

テーマは「偽りの『看板』を下ろし、本物の『信頼』を築く60分」です。

対人支援のプロであるキャリアコンサルタントは、日々クライアントの人生に寄り添い、奔走されています。しかしその一方で、誰にも言えない葛藤を抱えている方が少なくありません。

それは、市場の流行やクライアントからの期待に応えようとするあまり、「どんな悩みでも解決します」「最新の理論も知っています」と自分を飾ってしまい、外に向けて掲げている看板と、自分の本当の実力や思いという中身がズレてしまうという葛藤です。

今回のワークショップの最大の成果は、参加されたプロフェッショナルたちが、この葛藤を乗り越えるための「ある一つの最強の結論」に自発的に辿り着いたことでした。 まずは、古典落語『看板の一(ピン)』を通じて、専門職ゆえの看板のズレについて見つめ直してみましょう。


その看板、中身とズレていませんか?(落語『看板の一』より)

看板と中身のズレがどういう悲劇を生むのか。お馴染み、喜六と清やんの会話で紐解いてみます。

「清やん、わい、キャリコンとして『どんな悩みでも解決します!』って大きな看板出してるんやけど、なんやしんどいし、全然リピートもされへんねん……」

喜六
喜六

「リピートされへんか。そら、中身が伴わんのに、外見だけ立派にしてもすぐ見透かされるわ。落語の『看板の一(ピン)』ちゅう噺を知らんか?」

清やん
清やん

「看板の一? どんな噺や?」

喜六
喜六

「チョボイチちゅうサイコロ博打の噺や。老練な隠居がな、壺皿の外にわざと一の目を置いとくねん。これを客寄せの看板にして、若いやつらを引っ掛けて金を巻き上げるんや」

清やん
清やん

「ほう、うまいことやりよるな」

喜六
喜六

「そやろ。で、それを見た若者が表面だけ真似るんや。外に一の看板を出して、ドヤ顔で博打を開く。でもな、中身の戦略が何もないさかい、壺を開けたら中身のサイコロも一で、大負けしてまうねん」

清やん
清やん

「なんやそれ、間抜けな話やな!」

喜六
喜六

「隠居は確固たる『中身という戦略』があって看板を出したんや。若者は中身がないのに形だけ真似た。隠居も言うとったやろ。勝負は中や、開けてみるまでわからんぞってな。偽りの看板はすぐバレるんやで」

清やん
清やん

中身と向き合うための2ステップと「見えない壁」

喜六のように、安易な手法の模倣や市場のニーズに合わせただけの偽りの看板は、非常に脆いものです。では、どうすれば自分だけの専門性の軸を取り戻せるのでしょうか。ワークショップでは、2つのステップでキャリア理論を紐解きました。

ロジャーズの「自己一致」でモヤモヤを点検する

現在自分が掲げている役割としての看板と、実際の本音や実力という中身の間にある、違和感やモヤモヤを点検します。 「本当はもっと一人ひとりに深く寄り添いたいのに、効率ばかり求められる」といった心の不一致に気づくことが、偽りの看板を下ろす最初のステップです。

カール・ロジャーズ来談者中心療法

アイビィの「意図性」で自分の核を取り戻す

モヤモヤを自覚したら、他人の真似をしたり市場のノイズに流されたりするのではなく、自らの意志で選び取ります。自分にとって絶対に譲れない能力や動機、そして価値観という「専門性の核」を抽出する作業へ移ります。

アイビィのマイクロカウンセリング技法

しかし、ここで大きな壁にぶつかります。 頭で理論が分かっても、無意識のうちに生じている自分の中身のズレを、自分一人で客観視し、見立て直しを行うのは至難の業なのです。


放念ワークの熱気と「最強のエビデンス(参加者の声)」

この見えない壁を乗り越えるため、参加者の皆様にはグループワークを通じて、今の看板に対する違和感やズレを声に出して共有していただきました。

専門職であるがゆえに一人で抱え込んでいた孤独な葛藤とという念。それを外へ放つ放念ワークを行い、心のモヤモヤを整流化することで、会場のあちこちから「自分だけじゃなかったんだ」という深い安堵の空気が広がりました。

そして、この対話を通じて、参加者たちは「自分一人ではズレに気づけない」という事実を深く悟り、ある一つの行動へと結実しました。それは、終了後のアンケート結果が何よりも雄弁に物語っています。

【ワークショップ参加者(14名)のアンケート結果】

85.7% の方が最高評価(5)を回答

• 参加者 全員 が「落語がテーマの理解に役立った」と回答

• 参加者の 7割以上 が「専門家としての軸を再確認できた」と実感

アンケートに寄せられたリアルな声をご紹介します。

• 「まずは自分がキャリコンを受けます」

• 「月1回は自分も相談者としてキャリコン等を受ける」

• 「キャリコンがキャリコンを受けるというのは大切だと思います」

• 「自己分析やキャリコンを受ける事が必要だと気づいた」

自己の専門性を磨き、ブレない軸を持つためには、プロである自分自身がまずクライアントの椅子に座り、支援を受ける必要がある。 理論の学習にとどまらず、こうした「生きた行動宣言」が次々と飛び出したことは、専門家としての見事な自己概念の進化です。


まとめ:勝負は中(なか)や

落語の隠居が言い放ったように、プロフェッショナルとしての「勝負は中や」という言葉にすべてが集約されています。

自分が提供しているサービスの価値を誰よりも信じているからこそ、プロは自らその椅子に座り、中身を磨き続けるべきなのです。流行の理論や見せかけの看板を一度下ろし、自身の本音と譲れない核に深く向き合うことこそが、真の信頼を得るための第一歩となります。

プロフェッショナルのあなたへ

最近、ご自身がクライアントとしてキャリアコンサルティングを受けていますか?

今回お招きいただいた「キャリコンサロン」様でも、会員同士でキャリコンを受け合い、自己研鑽を深める素晴らしい取り組みをされています。すでに所属されている方は、まずはそういった場を存分に活用されるのが良いでしょう。

一方で、 「いつもの枠組みから少し外れて、落語の視点を取り入れた壁打ちをしてみたい」 「自分の『看板』のズレを、全く違う角度から見立て直してほしい」 という方がいらっしゃいましたら、ぜひ私の個別セッションまたは無料メール高座の扉を叩いてみてください。

「勝負は中や」。この言葉を胸に、ご自身の中身を磨き続けていきましょう。

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    ABOUT ME
    いっきょう影褒め亭
    いっきょう影褒め亭
    国家資格キャリアコンサルタント×人生小噺家
    「国家資格キャリアコンサルタント×ビジネス小噺家」 落語の世界観に魅せられ、13年のキャリアを持つ。「死神」や「いきだおれ」といった、一癖ある演目を好む。国家資格キャリアコンサルタントとしての知見と落語を融合し、独自のスタイルを確立。人の強みや人生の物語を落語に仕立てることで、第三者視点からその人の魅力を浮き彫りにする活動をしている。 また、13年間継続している合気道の経験から、落語と合気道に共通する「相手を活かす」考え方や、継続のコツについて研究を重ねている。
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