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落語・小噺『三省庁キャリコン綱引き合戦』で学ぶ、“わたしの重心”の見つけ方

着物姿のクラウゼヴィッツが左側に立ち、右側には和風の高座とマイクスタンドが設置されている。背景は落ち着いたネイビーブルーと墨色のトーンで、ほのかに霧が漂っている。上部には毛筆風の大きな文字で「重心を見極めよ」、下部には明朝体で「三省庁の目的・使命・理想とは」と書かれている。全体が知的かつ重厚な雰囲気で和洋が自然に調和している。
ikkyo_blog

登場人物紹介:

🧍‍♂️ 喜六(きろく)
キャリアコンサルタント資格を取得したばかりの若手。現場での多様な期待に振り回され、日々モヤモヤを抱えている。

🎩 蔵はん先生(くらはんせんせい)
クラウゼヴィッツ『戦争論』から抜け出してきたような謎の人物。キャリア支援にも通じる戦略的視点を持ち、喜六に「重心」や「自己理解」の大切さを説く智者。


はじめに

キャリアコンサルタントとして活動されている皆さん、最近こんなふうに感じることはありませんか?

「なんや最近、仕事がうまいこといかへんねん…」

喜六
喜六

と、モヤモヤする声が聞こえてきたり、

「現場に出てみたら、あっちからこっちから色んなこと言われてな」

喜六
喜六

と、あちこちからの期待に戸惑ったり…。まさに今、多くのキャリアコンサルタントが直面している“綱引き”のような状況があるんです。

「たこ足配線がバチバチ言うてるみたいやねん」

喜六
喜六

このブログでは、そんなキャリアコンサルタントを取り巻くちょっと複雑な状況を、ユニークな落語の世界で紐解きながら、「自分自身の軸=重心」を見つけるヒントを探ります。


セクション1:キャリアコンサルタントを取り巻く“綱引き”とは?

現代社会において、キャリアコンサルタントに寄せられる期待はますます多様化し、複雑になっています。労働市場の変化、技術革新、働き方の多様化など、様々な要因が絡み合い、キャリアコンサルタントには幅広い役割が求められています。

落語『三省庁キャリコン綱引き合戦』では、この状況を「三省庁からの綱引き」という比喩で描いています。それぞれの省庁が、国の政策に基づき、キャリアコンサルタントに異なる役割を期待している様子がユーモラスに表現されています。


厚生労働省(厚労省)の綱引き

厚労省は、キャリアコンサルタントに対し、職業選択や能力開発に加え、労働者の精神的な健康やウェルビーイングを支える存在としての役割を期待しています。「4つのケア」「治療と仕事の両立支援」など、予防的な支援への関与が求められています。

「まず厚労省、『人生まるごと面倒見てな!』て言いよんねん。相談者の経歴から悩みやお気持ちを、ぜ〜んぶ聞いてあげて、ホリスティックにサポートやて。ていうか、ホリスティックってなんやねん」

喜六
喜六

経済産業省(経産省)の綱引き

経産省は、DXや産業構造の変化に対応するため、キャリアコンサルタントに対し、リスキリングや労働移動の促進を担う役割を求めています。即戦力人材を生み出すことが、経済成長につながるという視点です。

「そしたら経産省は『即戦力!リスキリング!DXや!』て、今すぐ人を動かせ言わはる。こっちは相談者と一緒に悩むどころか、『あんた明日からAIエンジニアや!』て言うんかいな…」

喜六
喜六

文部科学省(文科省)の綱引き

文科省は、キャリア教育を通じた基礎的・汎用的能力の育成、子どもたちの発達支援を重視しています。キャリアコンサルタントには、教育現場で夢を語る“語り部”のような役割が期待されます。

「文科省は『子どもに夢を語って』て頼んでくれはってんけどな、『わい、今ちょっと迷ってまして』て言うてしもたら台無しやん」

喜六
喜六

これら三省庁それぞれの異なる期待は、現場で働くキャリアコンサルタントにとって、まさに“綱引き”のような状況を生み出します。


セクション2:綱引きの真ん中で揺れるキャリアコンサルタント

多様な期待に応えようとするあまり、自分の立ち位置を見失ったり、どの声に応えるべきか迷ったりする。そんな経験、ありませんか?

特に、専門外のケースや複雑な相談への対応、組織との連携の難しさなど、現場での悩みは尽きません。こうした状況では、「自分は何のためにこの仕事をしているのか」が見えにくくなることもあります。

「そんなんで、毎日あっち向いたりこっち向いたりで、方向が定まれへんのや。机の上で、たこ足配線がバチバチ言うてるみたいやねん」

喜六
喜六


セクション3:「わたしの重心」はどこにある?

ここで登場するのが、落語の中の“蔵はん先生”。ぼやく喜六に指摘をします。

蔵はん先生

「戦場でも同じじゃ。相手の力が集まっている『重心』を見抜き、そこに力を集中する。これが戦略の基本じゃ」

蔵はん先生

「今のお前さんは、あちこちの声に引っ張られて、自分が何のために動くのかが曖昧なのじゃ」

蔵はん先生

「重心なき者は、引かれるままに倒れるだけ。立ち続けるには、自分の意志で立つ“拠り所”が必要なのじゃ」

蔵はん先生

「目的なき支援は、風に流される舟のごとし。自己理解をせぬまま人を導くのは、地図を持たずに旅するようなものじゃ」

この「重心」とは、外から与えられるものではなく、自分自身が「何を目指すのか」「どうありたいか」といった内的な目的から定まるものです。

キャリアコンサルタントにとっての重心とは、自分自身の価値観、得意分野、支援したい対象――つまり、“わたしのキャリコンとしての軸”です。


セクション4:「わたしの重心」を見つける鍵は「自己理解」

では、その「重心」をどうやって見つけるのか。

蔵はん先生

「本当に必要なのは、自分自身の『重心』――つまり、『何を目指すのか』『どうありたいか』という自己理解じゃ」

自己理解は、キャリアコンサルタントとしての専門性の維持や、倫理的判断、支援の方向性を定めるうえで不可欠です。自分自身の強み、限界、そして信じている価値を理解すること。それが、複雑な現場でもぶれずに支援を続けるための力になります。

「自己理解…それ、いっちゃん難しいやつやん…」

喜六
喜六

おわりに:ワークショップのご案内

キャリアコンサルタントとして活動していくうえで、多様な期待と複雑な環境の中で、自分の「重心=軸」を見出すことは、とても大切なことです。

その鍵となるのが「自己理解」

今回ご紹介した落語『三省庁キャリコン綱引き合戦』は、そうしたテーマを、楽しく、そして深く考えるきっかけを与えてくれます。

このたびのワークショップでは、このテーマを皆さんと一緒に探求していきます。落語を楽しみながら、三省庁の狙いと自分自身の重心を見つめ直す対話の場をぜひご一緒に。

あなたのご参加をお待ちしております!

ワークショップの詳細はこちらをご覧ください。

🏮 落語・小噺会『三省庁キャリコン綱引き合戦』で学ぶ、“わたしの重心”の見つけ方

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影褒め亭いっきょう
影褒め亭いっきょう
国家資格キャリアコンサルタント×アマチュア落語家
「国家資格キャリアコンサルタント × アマチュア落語家」 落語の世界観に魅せられたアラフィフ落語家。13年間の落語経験を活かし、「死神」「いきだおれ」など、クセの強いネタを愛する。 国家資格キャリアコンサルタントとして、「人生の転機」を言語化し、落語にするという独自のスタイルを確立。 「影褒め」(※第三者を通じて伝える褒め方) を活用し、あなたの強みや人生のストーリーを落語で表現する活動を展開中。
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