【開催レポート】落語×両立支援ワークショップ|キャリコン向け

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ごきげんさまです。いっきょう@影褒め亭です。

2026年4月25日、キャリコングループのフルカラーさんが主宰するキャリアコンサルタント向けのイベントで、両立支援をテーマにした落語ワークショップを開催させていただきました。

ご参加くださったのは28名。 キャリアコンサルタントや両立支援コーディネーターの方を中心に、人事担当者や管理職の方も混じっていました。

今回の演目は2席です。

  • 古典落語『胴斬り』
  • 両立支援落語『看板の掛け替え』(実話ベース)

「笑えて、考えられて、職場の見方が変わる120分」を目指しました。当日の熱気と気づきが詰まったレポートをお届けします。


1. 第一席「胴斬り」が開いた扉

結論:失った機能を嘆くより、残った資源を活かす。そこに気づいた瞬間、支援の扉が開きます。

あらすじ

江戸時代。お侍に胴斬りにされた竹はんの体が、胴と足に分かれてしまいました。絶体絶命——かと思いきや。

友人の又はんが機転を利かせて、胴と足それぞれに仕事を手配します。胴は風呂屋の番台へ。足はうどん屋の踏み職人へ。胴から足へ「三里にやいとを据えてほしい」と言伝が届くほど、二人(?)はそれぞれ元気に働いています。ダブルインカムっちゅうやつです。

サゲ(オチ)は足からの言伝。「水やお茶をガブガブ飲まんように言うとくなはれ。おしっこがちこうてしょうがおまへんねん」

笑いが収まったところで、私はこう問いかけました。「さて、竹はんの体は二つに分かれましたが……皆さんの職場にも、一人で全部背負っている人、おりませんか」

ワーク①「個人のリソース棚卸し」

笑った直後のグループワークは、不思議なほど素直でした。

4Sモデル(Self / Situation)に基づいて、「今の自分の上半身(知識・資格・人脈・判断力)と下半身(現場感覚・体で覚えた技・日々の関係性)は何か」を棚卸しする時間。「できないこと」ではなく、「残っているもの」を話す場を作ると、参加者同士の言葉がぐっと柔らかくなります。

ワーク中に生まれた声の中で、私がいちばん驚いたのがこれです。

「障がいのある人」の支援という捉え方ではマイナスからスタートするイメージになってしまうが、「こんな経験やスキルがあって、この能力を発揮するのに環境の整備や支援が必要な人」という捉え方をすると、可能性が一気に広がることに気がついた。
— O.さん

胴斬りにあった竹はんは、「足がない人」ではありません。「番台に座ることができる人」でした。

O.さんはその視点を自分の支援の現場にすぐ接続してくれた。落語が「安全な距離」を作ったからこそ、こういう気づきが生まれます。


2. 第二席「看板の掛け替え」が照らした組織の構造

結論:「係長」という看板の裏に、何枚の役割が貼りついているか。担ぎ手が増えるほど、一人ひとりの肩は軽くなります。

あらすじ(実話ベース)

大阪は摂津。阪急電車の車両検査を担う工場「興國車輛」での話です。

組み立て部門の竹内係長が、がんを告知されました。本人から社長に直接「治療しながら働き続けたい」と告げた。社長はそれを全社員の前で共有する決断をします。憶測が飛び交うより、全員が知っている方がいい——その判断が、もともとコミュニケーションが良くなかった職場を、四職種の中でいちばんいい職場に変えた、と番頭(語り手)は言います。

ところが、後を引き継いだ又吉係長が、2ヶ月後にメンタルダウンしてしまいます。「段取り、取引先との顔つなぎ、クレーム対応、若手の指導、知恵の引き継ぎ……気がついたら全部ワシんとこ来て、もう限界なんです」

「係長」という看板の裏に、五枚の看板が貼りついていたのです。社長は又さんに頭を下げて、こう言いました。

「一番わかってる人間が、全部やらんでもええんや」

又さんが初めて笑った瞬間です。その後、社長は看板を分けました。他の部門の係長に全体のまとめ役を頼み、現場主任を3名据え、又さんは元の仕事に戻る。竹内係長は治療しながら若手に技を伝えています。

番頭が隠居に語ります。

「今の工場はですね、神輿みたいなもんで——担ぎ手が増えるほど、一人ひとりの肩は軽うなる」


この落語には、私自身がキャリアコンサルタントとして現場で感じてきた「善意の悲劇」が詰まっています。優秀な人ほど、看板を引き受けてしまう。経営者はその重さに気づいていないことが多い。

ヴィクトール・フランクルは「ユーモアは人間の自由の証明である」と言いました。笑いが生まれた瞬間、人は状況の外に出られる。「わしが一番わかってる」と言っていた又さんが初めて笑えたのは、その自由が戻った瞬間だったと、私は思っています。

(参考記事:キャリアコンサルティングの基本プロセス / 共感的理解とは

ワーク②「看板の編集会議」

3つの問いをグループで話し合ってもらいました。

  1. あなたの「又さん」は誰ですか?
  2. 経営者はなぜ気づいていないと思いますか?
  3. あなたならどこから入りますか?

対話が深まるにつれ、参加者からこんな声が出てきました。

「看板の裏に隠れている責任や仕事の大きさ、それに気づけるようにしっかり見える化する(語ってもらう、可視化する)ことが大切だと思いました」
— M.I.さん

「相談者にいかにモヤモヤしていただくか。そこからしか、内省は始まらないのでは、と思った」
— H.O.さん

「モヤモヤさせることが支援」——この逆説が、対話の中から自然に生まれた瞬間、場がひとつになりました。

キャリアコンサルタントとして企業に入る「入口」を探している方は、ぜひこの3つの問いを現場に持って行ってみてください。
👉 落語×キャリア支援の対話メソッドはこちら


3. 両立支援ワークショップ参加者の声|落語の「笑い」がもたらす効果

結論:落語を通じた「笑い」と「モヤモヤ」は、キャリアコンサルタントや人事担当者の防衛反応を解き、現場での実践的な深い内省と気づきを生み出します。

終了後のアンケート結果(回答者26名)からも、その効果がはっきりと表れました。

評価項目アンケート結果
満足度5(最高評価)92%(24名)
落語がテーマの理解に役立ったか96%(非常に+やや)
支援者としての軸を再確認できたか85%(強く+ある程度)
その場でのメルマガ登録率58%(15名)

参加者の皆様から寄せられた生の声の一部をご紹介します(※掲載許可をいただいた方のみ)。

『みんな落ちろ』はめちゃめちゃ笑いました。でも、キャリアコンサルタントの本をもういっぺん読んでから、心から勉強したいと思えるようになってから再チャレンジしてみよう、と思えました」
— S.S.さん

笑えた瞬間に、人は現状の思い込み(枠)の外に出ることができます。S.S.さんが再チャレンジへの気持ちを取り戻してくれたのは、まさにヴィクトール・フランクルの言う「刺激と反応の間にある自由」が戻ってきた瞬間だったと思います。

「乳がんになって支援もされて……私はどんな時も人に寄り添う存在でありたいと思います」
— H.M.さん

H.M.さんご自身が「治療と仕事の両立」の当事者でもあります。支援者が支援される側の経験を持つとき、その言葉の重さはまるでちがいます。

「ぜひ、いっきょうさんに自社の研修をお願いしたいと思いました」
— K.O.さん

大変ありがたいお言葉です。当日は懇親会の席でも、生保関係の方と人事系担当者の方から「企業研修として興味があります」と直接ご連絡をいただきました。


結び:両立支援は「組織文化のアップデート」である

結論:両立支援の本質は、個人の努力や制度の問題ではなく、周囲と責任を分かち合う「組織文化のアップデート」です。落語の笑いが、その変革の壁を取り払います。

私がこのワークショップで届けたいメッセージは、ただひとつだけです。「両立支援は、制度でもコストでもなく、組織文化のアップデートである」

重たい看板は、一人で持つもんやない。担ぎ手が増えるほど、肩は軽くなるのです。

その気づきを、笑いながら持って帰ってもらえたなら、キャリアコンサルタントとしてこれ以上の喜びはありません。

主催者のフルカラー木村さんのおうどん姿


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    いっきょう影褒め亭
    いっきょう影褒め亭
    国家資格キャリアコンサルタント×人生小噺家
    「国家資格キャリアコンサルタント×ビジネス小噺家」 落語の世界観に魅せられ、13年のキャリアを持つ。「死神」や「いきだおれ」といった、一癖ある演目を好む。国家資格キャリアコンサルタントとしての知見と落語を融合し、独自のスタイルを確立。人の強みや人生の物語を落語に仕立てることで、第三者視点からその人の魅力を浮き彫りにする活動をしている。 また、13年間継続している合気道の経験から、落語と合気道に共通する「相手を活かす」考え方や、継続のコツについて研究を重ねている。
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