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キャリアコンサルタント

50代氷河期世代の人生ハンドリング│「安定」を突き抜ける進み方2選

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「このままで、俺の人生、終わっていいのか?」

もしあなたが40代後半から50代に差し掛かり、ふとこんな思いに駆られることがあるなら、この記事はきっと、あなたのためのものです。

小噺:50代氷河期世代の地図にない道を走らせる

えー、人生100年時代、なんて言われますが、会社員の人生はなかなか厳しいもんでございます。順風満帆に出世街道を走ってきたと思ったら、55歳あたりで「役職定年」という大きな壁にぶつかる。昨日までの肩書と給料が、ある日突然なくなってしまう。

プライドも、懐も、寂しくなってくるお年頃。ほら、あそこの公園のベンチ。いつもは町内のまとめ役で、シャキッとしてはる清やんが、まさにその歳になって、背中を丸めて、深〜いため息をついてはりますな…。

(序)役職定年を迎えて、困惑する

清やん
「はぁ〜……。これから、どうしたらええんやろか…」

(静かな間で、蔵はん先生がゆっくりと通りかかる)

蔵はん
「おや、清やんやないか。いつになく、元気がのうて、しぼんだ風船みたいになっとるな。何かあったんか?」

清やん
「あ、蔵はん先生…。いや、情けない話なんですけどな、聞いてくれますか」

蔵はん
「なんや、改まって。言ってみなはれ」

清やん
「わし、この春、55歳で会社で『役職定年』になりましてん。昨日まで管理職として部下を束ねとったのが、今日からただの『さん』付けですわ。机も窓際になって、昨日まで部下やったやつが新しい上司ですわ。給料もガクンと下がって、嫁はんには『ローンの返済、大丈夫なん?』て詰め寄られるし…」

蔵はん
「そうか…。自分のお城で采配を振るっとったのに、急に門番にさせられたようなもんやな。そら、やりきれんやろ」

清やん
「ほんま、その通りですわ。おまけに、こないだ下の娘がやっと就職して、子育ても一段落。これから夫婦二人でゆっくり、なんて思てた矢先にこれですわ。田舎の親の介護も気になるし…。会社にいても先はない。かといって、今さら辞める勇気もない。もう、どうしたらええか、分からんのです…」

蔵はん
「そうか…。いろんなもんを背負って、ずっと一本道を走り続けてきたんやな。そやけど、その道が急に行き止まりみたいに見えて、立ち往生しとるんやな」

清やん
「はい…」

(破)子どもの頃の夢とは

蔵はん
「(にっこりして)けどな、清やん。見方を変えれば、ええ機会やないか。会社での出世という道を、もう無理して走らんでええようになったんや」

清やん
「え…?」

蔵はん
「今の道でどうするか、と悩むのもええ。じゃが、いっそのこと、地図に載ってへん道を、自分で作ってみるのも一興やで。…なぁ、清やん。会社にも入る前の、ずっとずっと昔。子どもの頃、ほんまは何になりたかったんや?」

清やん
「子どもの頃…ですか。もう半世紀近く前の話ですわ…。いや、待ってください。そういえば…ありました。親父によう、バスに乗せてもろて遠足に連れてってもらったんです。その時、大きなバスを軽々と運転して、お客さんみんなに『おおきに』て言うてる運転手さんが、子ども心に、ものすごうカッコよく見えてな…。自分もいつか、あの大きなハンドルを握ってみたい、て、ずっと思とりましたわ…」

蔵はん
「ほう。そら、ええ道やないか」

清やん
「ええ道て…この歳から、なれるわけないですやんか」

蔵はん:「なぜ、なれんのや? 『管理職』という肩書はなくなったかもしれんが、あんたが今まで培ってきた経験や責任感は、誰にも奪えん宝や。お客さんを安全に目的地まで届けるのも、人を幸せにする、立派な道やで。その道を作るのに、55歳は早すぎることも、遅すぎることもない」

清やん
「……新しい、道…か。ワシにも、まだ作れるんやろか…」

(急)人生のハンドルを握りなおす

清やん
「(顔を上げ、決意したように)そうや…。窓際でため息ついてても、景色は変わらん。自分で運転席に座って、景色を変えな、あかんのや! よし、わし、人生のバス、もう一回、自分で発車させたりますわ!」

蔵はん
「(扇子を閉じながら)おう、その意気や。ただし、お忘れなく。地図にない道を進む時は、必ず、予期せぬ邪魔が入る。いわゆる『摩擦』というやつが伴いますぞ」

清やん
「摩擦? と、言いますと?」

蔵はん
「一番身近におる、『最高司令官』…つまり、奥方様の許可という、人生最大の『摩擦』が待ち構えとります。それを乗り越えんことには、どんな立派なバスも、一ミリも動きまへんで」

清やん
「………それが、一番の難関ですわ」

決意

はじめに:氷河期世代キャリアコンサルタントのいっきょうです。

どうも。国家資格キャリアコンサルタントの“いっきょう”と申します。 何を隠そう、私自身も皆さんと同じ50代、氷河期をど真ん中で生きてきた一人です。 ですから、その気持ち、痛いほどよく分かります。

この記事では、同じ時代を生きてきた仲間として、そしてキャリアの専門家として、私たち氷河期世代の新しい生き方について、具体的な選択肢とともにご提案させていただきます。

国家資格キャリアコンサルタントとは

キャリアコンサルタントは、「労働者の職業の選択、職業生活設計、または職業能力の開発および向上に関する相談に応じ、助言および指導を行う専門家」です。2016年4月に職業能力開発促進法により国家資格として制度化されています。

参考)キャリアコンサルタント倫理綱領

https://www.career-cc.org/files/rinrikoryo20240101.pdf

現状:子育てがひと段落し、ふと気づいた「人生のハンドル」

これまでは、家族を養うこと、子どもの学費を稼ぐことが最優先でした。自分の夢なんて、心の奥底のガレージにしまい込み、鍵をかけていたはずです。しかし、子どもが独立し、夫婦2人がなんとか生活できる目処が立つと、景色は一変します。

  • 会社での目標を見失う: 出世競争にも疲れ、かつてのようにアクセルを踏み込む情熱もなくなった。
  • 「やりがい」への渇望: 給料や役職よりも、「誰かの役に立ちたい」「心から楽しいと思える道を走りたい」という気持ちが強くなる。
  • 封印していた夢の再燃: 子どもの頃、漠然と憧れていた職業や、若い頃に諦めた夢が、ふと頭をよぎるようになる。

言葉にならない焦燥感と、ふと湧き上がる期待感が入り混じる、この独特の感覚。これは決して現実からの「逃避」ではございません。むしろ、人生の後半戦を、もっと自分らしく、後悔なく走るための、前向きで健全なエネルギーの芽生えなのでございますよ。

「そやそや!逃げとちゃうねん!なんかこう、ムズムズすんねんなぁ。」

清やん
清やん

経緯:我慢と努力の30数年。私たちは何のために走ってきたのか

私たちが社会に出た1990年代後半から2000年代初頭は、まさに視界不良の嵐の中でした。多くの企業は採用の門を固く閉ざし、私たちは「会社に選んでもらう」だけで精一杯。希望の職種やなんて、二の次、三の次でした。

「とにかく安定した会社の正社員に」

その一心で、やりたいことは胸にしまい込み、会社のために、家族のためにと走り続けてきた。それは紛れもなく尊い努力です。しかし同時に、それは「自分の人生」のハンドルを、誰かに預けてきた30年でもあったのかもしれません。

この我慢や努力を、ご自身で「仕方がなかったこと」と切り捨ててはいけません。その誠実な走りっぷりを、必ず誰かが見てくれていたはず。それこそが、あなたの気づかぬ“徳”であり、「影褒め」の源泉なのでございます。

🔵蔵はん

「お前さんらの30年、ただの我慢やなかったんやな。影褒め、か…ええ言葉や。」

喫緊の課題:色あせた「安定」と心のガス欠

会社での「安定」は、確かに私たちを長年守ってくれました。しかし今、その安定は少しずつ色あせて見えてきます。

  • 給料もポストも頭打ち: 年功序列は崩壊し、賃金は伸び悩み、先の車線は渋滞している。
  • 情熱の喪失: 日々の業務に、かつてのように情熱のエンジンをかけられなくなっている。

お金や地位という“ガソリン”だけでは、もう心の渇きは癒せない。「この道を走っていて本当に楽しいか?」という根源的な問いが、私たちの心を締め付けるのでございます。

「ガス欠か…ほんま、エンジンかからん日ぃ、あるわ…。」

清やん
清やん

長期の課題:人生100年時代、この先の道をどう走る?

役職定年で給料が下がる…そんな目先の不安もさることながら、もっと大きな問題が横たわっています。それは、「人生100年時代」という、もはや無視できない現実です。

定年後も、私たちの人生のドライブはまだまだ続きます。 その長い道のりを、ただ会社にぶら下がり、やりがいもなく走り続けるのか。それとも、今から新しい地図を手に、新たな道へ走り出すのか。この選択は、私たちの「人生の質」そのものを大きく左右することになるでしょう。

🔵蔵はん

「ふむ。わしらの頃とはまた違う、長い道のりやな。どう走るか…こら、腕の見せ所やで。」

地図

解決策:人生の後半戦、夢にハンドルを切る勇気

「でも、今さら道を変えるなんて…」 同世代だからこそ、その一歩の重みは痛いほど分かります。 しかし、50代は決してキャリアの終点ではありません。むしろ、これまでの経験という“最高のエンジン”を積んだ車で、新しい目的地を目指す絶好のチャンスなのでございます。

選択肢① リスキリングで運転技術を磨く
いきなり知らない道へ飛び込むのが不安なら、まずは「リスキリング(学び直し)」で運転技術を磨くことから始めましょう。これは単なるスキルアップではなく、夢の目的地にたどり着くための、具体的な“ドライビングテクニック”を学ぶようなものです。国や自治体も、様々な助成金で私たちの学び直しを支援してくれています。

リスキリングに関する個人向けの支援制度

教育訓練給付制度(厚生労働省)一例です。詳しくは下記アドレスからどうぞ。

専門実践教育訓練給付金:受講費用の50%(上限40万円/年)を給付。修了後1年以内に就職・転職した場合、さらに20%(上限16万円)、賃金が5%以上上昇した場合は追加で10%(上限8万円)が支給されます

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/senmonjissenkyouikukunrennokyuuhunogoannai.pdf

選択肢② 子どもの頃の夢に、今こそ挑戦する
そして、もう一つの大きな選択肢がこれです。子どもの頃、あなたが本当にやりたかったことは何でしたか?「もう若くないから」「未経験だから」と諦めるのは、あまりに早いものです。

ここで一つの具体例として、「バスの運転手」という夢を考えてみましょう。 「大きな車体を操って、街の人々を安全に送り届ける」。そんな姿に憧れたことはありませんか?実は今、バス業界は人手不足を背景に、私たちのような50代の未経験者を積極的に採用しています。

  • 免許がなくても大丈夫: 多くのバス会社が「大型二種免許」の取得支援制度を設けています。
  • 未経験でも安心の研修: 入社後の研修が充実しており、安全運転の技術や接客マナーを基礎から学べます。
  • 人生経験が武器になる: これこそが最大の強みです。安全運転への高い意識はもちろん、30年の社会人経験で培ったあなたのコミュニケーション能力や実直な対応力は、何よりお客様からの「信頼」に繋がります。

もちろん、これはあくまで一例です。しかし、大変な面があったとしても、それを上回る「社会の役に立っている」という実感や、夢を叶える喜びが、何物にも代えがたい新たな燃料となるはずです。

国や自治体が予算を組んでいるケースもあります

大型二種免許取得養成助成事業
都道府県バス協会の会員事業者(公営事業者を除く)が対象で、運転手の大型二種免許取得にかかる費用の一部が助成されます。

https://www.hyogobus.or.jp/wp/wp-content/uploads/2023/06/230606-1.pdf

運転手の福利厚生改善緊急支援事業費補助金(例:島根県)
運転手が賃貸住宅を借りて就職・転職した場合、家賃相当額の一部(雇用後24か月まで月3万円、25~48か月は月2万円、49~72か月は月1万円)を支給する制度があります

https://www.pref.shimane.lg.jp/tourism/access/access/bus/fukuri.html

*年度によって変わってくるので、都度の確認をおすすめします。

「なるほどな。いきなり高速に乗るんやのうて、まずは地図の読み方から勉強せぇっちゅうことかいな。」

清やん
清やん
🔵蔵はん

「へぇ、人生経験が武器になるんか。お前さんらの顔のシワも、伊達やないっちゅうこっちゃな。」

羅針盤

未来への提案:「安定」の価値観をアップデートしよう

私たち氷河期世代は、あまりにも長く「決められた路線を走る安定」を信じさせられてきました。 しかし、本当の安定とは、組織に依存することではありません。

「自分の人生のハンドルを、自分で握っている」

この実感の中にこそ、真の安定はあるのではないでしょうか。

子育てという大きな責任を果たし終えた今、私たちはもっと自由になっていいはずです。 リスキリングで新たなナビを手に入れるもよし。 子どもの頃に憧れた車の運転席に、今から座るもよし。

大切なのは、他人の価値観ではなく、自分の心の声に耳を傾けること。 さあ、一緒に、慣れ親しんだ車庫を出て、自分だけの夢が待つ、新たな目的地へと出発しませんか。

「自分の人生のハンドルを、自分で握る…か。当たり前やのに、忘れとったわ。」

清やん
清やん
🔵蔵はん

「おう、清やん。気づいた時が、出発の時やで。」

おわりに:「安定」の壁を突き抜ける

もし、ご自身の進むべき道に迷ったり、アクセルの踏み方が分からなくなったりした時は、どうぞお気軽に。

私“いっきょう”が、国家資格キャリアコンサルタントとして、あなたの中に眠る最高のエンジンを見つけ出し、「安定」の壁を突き抜けるお手伝いをさせていただきます。

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    影褒め亭いっきょう
    影褒め亭いっきょう
    国家資格キャリアコンサルタント×アマチュア落語家
    「国家資格キャリアコンサルタント × アマチュア落語家」 落語の世界観に魅せられたアラフィフ落語家。13年間の落語経験を活かし、「死神」「いきだおれ」など、クセの強いネタを愛する。 国家資格キャリアコンサルタントとして、「人生の転機」を言語化し、落語にするという独自のスタイルを確立。 「影褒め」(※第三者を通じて伝える褒め方) を活用し、あなたの強みや人生のストーリーを落語で表現する活動を展開中。
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